パレード観客席。指定席になっているらしい
先日、北京で行われた「抗日戦争勝利70周年」記念の軍事パレードのリハーサル風景がニュースに出ていました。関係者以外はシャットアウトして、かなり緊張感のあるリハーサルだったようです。
それを見ていて、思い出しました。
そういえば、ちょっと前の「建国60周年」の時も、パレード演習のためにあちこち封鎖してタイヘンだったよな〜と。
そう、リハーサルの時、偶然にも北京にいたんです。
せっかくの体験なので、少々古い話ではありますが、その時のレポートをお届けします。
リハーサルは何回も行われたようなので、北京で生活している人はタイヘンだったと思いますよ。
10月1日当日は祝日でお休みですが、リハーサルは普通の日に行われていますから。
今回の「抗日戦争勝利70周年」が終わったら、次は2019年でしょうか。
建国は1949年10月1日。「建国70周年」の年ですね。

建国60周年まで10日余りに迫った9月18日、私は北京に到着した。タクシーで市内へ向かう途中、運転手氏から「今日は長安街でパレード演習があり、交通が規制されるから迂回する」と言われた。今日は最後の演習で、市の中心にある環状道路(二環路)が封鎖されるらしい。ホテルは、二環路ギリギリ外側に位置している。
ホテルに到着し、頼まれた化粧品を手に友人の経営する茶店へと向かったのは、午後3時過ぎ。地下鉄を乗り換える駅に着くと、すごい勢いで通路を走ってくる一群に出くわした。デパートの福袋・初売りセールスを伝えるニュースで見る「どどどどどっっっっっ」というあれである。
誰もが必死の形相で、ちょっとでも当たれば弾き飛ばされそうだ。今まで北京でこのようなスピードに遭遇したことのない私は、しばし呆然としてしまった。
「今のは、何…?」と思いつつ電車を待っていると、構内アナウンスが聞こえた。
「今日はこれ以降、地下鉄が規制されます」というような内容で、各方面の最終電車の案内に引き続き、各駅の閉鎖を伝えるアナウンスが入る。ホテルの最寄り駅に変えるには、これから来る地下鉄が最終らしい。
二環路の内部は閉鎖されても、そこにたどり着くまでの道路や地下鉄・駅まで封鎖されるとは思わなかった。駅構内には貼り紙もなく、アナウンス以外には情報が入手できない。だが、日本のニュースでも、確かに「厳戒態勢の中、パレードの練習を…」と言っていた気がする。
内心焦った。
だが、階上の「どどどどど」と走る音が聞こえてくると、重いガラス瓶の化粧品を持ってその一群に突入するのは、さすがに恐ろしい。あきらめて茶店に向かうことにした。
友人に状況を話、帰る方法を相談したところ、慌ててパソコンで調べ始める。二環路どころか、さらに外側の三環路からすでに規制されているようで、「今日は帰れない〜」と驚いていた。今まで演習の時はどうしていたのだろうかと考えると、ちょっと不思議である。
結局、ホテルに電話して、封鎖された道路を避けて帰る方法を教えてもらうことができた。慣れていたようだったので、宿泊客からそのようなヘルプが多かったのかもしれない。
ホテルまで帰る方法はわかっても、終電に乗り遅れた人が多いせいか、肝心のタクシーがつかまらない。「焦ることはない」と、夜9時過ぎまで茶店でずるずると過ごすことになった。
幸い、茶葉を売る店なので、いいお茶には事欠かない。ホテルに戻った頃には、すっかりお茶っ腹になっていたことは言うまでもない。
ホテルのエレベーターホールから長安街が見下ろせるので、窓に張り付いてみていると、右手側から飾りをつけた戦車やトラックのようなものが次々とやって来る。興味津々であったが、暗いのと遠いのでよく見えない。「ニュースでやるから、いいや」と早々に引きあげた。
横に走るのが長安街。左に行くと、天安門広場や故宮。南北に走る道が二環路
この日やったことは、飛行機に乗るかお茶を飲むかのどちらかだけだったが、とても疲れた一日であった。